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第2章  実務編 (3)作業環境

Q34 在宅勤務者本人ができる工夫
身体的に重度とは言え、仕事をするための工夫はなるべく在宅勤務者本人ができるようにしていくことが望ましいと思いますが、例えばどのようなことがあげられますか?

A34

 特に上下肢に重度な障害のある人にとっては、作業時間中でもいろいろな場面で介助者の手が必要となります。介助者がいつもそばでサポートしなければならない状態では思うように仕事も進みませんし、また介助者の都合に左右されてしまうこともあるでしょう。しかし、ちょっとしたアイデアや工夫で障害のある本人でも介助なしでできることが多くあります。たとえば以下のようなことがあげられます。

  • ドアの取っ手を車椅子でも操作できるように低くする
  • 握力が弱い人でも開閉がしやすいようにドアに大きな取っ手をつける
  • 電灯には長い紐をつける、カーテンにも紐をつけその紐を操作することで電灯のオン/オフやカーテンの開閉をする
  • パソコンの電源が本体の側面の奥にある場合などは長い棒を用意する
  • 小さなスイッチの操作に指の力を必要としないように、棒などを取り付ける
  • 機器の操作も全面でできるような構造になっているものを使う

このような工夫で日常的に頻繁に発生する操作も本人ができることがかなり多くなり、その分家族の負担も軽減し作業の効率もあがるでしょう。 
 家族の負担や不便を感じながら仕事をするのではなく、「できることは本人がする」ことをコンセプトに考えることが必要ではないかと思います。またこのようなちょっとした工夫は、経済的に大きな負担をかけずにすむ場合が多いようです。

コラム2-42

【事例】 (1)カーテンの開閉

  窓からの光が直接ディスプレイに当たるのを避けるために、カーテンに紐をつけ、移動せずにカーテンを開閉できるように工夫してあります。また、機器のスイッチも自分でオン/オフできるように手元にスイッチをつけたり、棒をつけて工夫しています(イラスト)。 
[C社のヒアリングより]

コラム2-43

【事例】 (2)可動のテーブル

 頚髄損傷1級のQ氏でも動かすことが可能な可動机を用意しています。この可動机はキーボードと入力原稿がちょうど置けるくらいの大きさですが、入力原稿が大きいときは自力で机を広げることができます。また、机とディスプレイの距離が1m20~30cmと離れているため、目の疲れが少なくて済んでいるようです。また、棚も組立式のラックを使って自分で手のとどく範囲に必要な物を置いて利用しています(イラスト)。
[B社のヒアリングより]

コラム2-44

【事例】 (3)FAXの机

 筋ジストロフィー1級のT氏は、少しの力でも動かせるようにとFAXが置いてある机には台車がついています(イラスト)。
[E社のヒアリングより]

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