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第2章  実務編 (3)作業環境

Q30 専用の作業室の必要性
在宅勤務をする場合、自宅に専用の作業室を確保したほうが良いのでしょうか?また、作業場所が確保できない場合はどのようなことに考慮すればよいですか?

A30

 家族が共に生活する日常生活の場とは別の作業場所を確保したほうが良いでしょう。なぜならば、家族の生活から物理的にも心理的にも離れることで、仕事に集中できるばかりでなく、「仕事が終わった」といった気分転換ができるからです。さらに、作業場所を明確に分けることによって、作業時に災害が発生した場合、労災補償の可否の判断が行いやすくなります。このように、長期にわたり安定した生産性と心理的な安定を確保するためには、作業室を確保することがたいへん重要となってきます。しかし、自宅に本人の部屋がある場合は、前述の内容を満たす環境であれば、わざわざ作業室を別に確保する必要はないでしょう。 
 また、自分の部屋も作業室も確保できないという場合は、リビングに仕事中だけでも簡単なつい立てを立てたり、テーブルを作業時間だけ専用で使えるようにするだけでもずいぶんと違ってきますから、家族の協力を得ながら作業スペースを確保していくと良いでしょう。

コラム2-33

【事例】 (1)自宅を改造して作業室を確保した

在宅勤務を始めるにあたって、自宅を改造して車椅子で動ける作業室を設置しました。 
 仕事は自社製品の向上のための研究を行う技術職であり、仕事に必要なワークステーション、ワープロ、パソコン、プリンタ、FAX機能付きコピー機など多くの機器が作業室にずらりと並んでいます。しかし、作業室のスペースは20平方メートルと広く、車椅子でもゆとりある広さです。 
 また、仕事部屋を中心に隣には日常生活に必要な休憩室兼寝室と本人専用の浴室が設置されていて、業務に集中できるように、公私の区別がでる間仕切りとなっています。さらに、仕事部屋から屋外への出入り用に昇降リフト、寝室と浴室にはホイスト式天井走行リフトが設置されています。
[C社のヒアリングより]

コラム2-34

【事例】 (2)自室を作業室としている

 2階7.5畳の自室を作業室として利用しています。仕事は全社的書類作成やデータベースへの社員健康管理データの登録などであり、パソコン・プリンタ・FAX機が低い机に並んでいます。
[E社のヒアリングより]

(見取り図)

コラム2-35

【事例】 (3)リビングに作業スペースを確保した

16畳のリビングのほぼ半分の広さを作業スペースとして確保しています。家族との共有の場でもありますが、ソファを仕切り代わりとしています。仕事はCAD業務であり、パソコン・プリンタ・FAX機・プロッタなど会社の業務に使用している機器の1セットを作業スペースに設置しています。
[D社のヒアリングより]

(見取り図)

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