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第2章  実務編 (1)雇用管理 雇用形態・処遇・契約

Q14 就業規則に適合しない場合の契約方法
当社の就業規則は通勤者を前提に作成しているため、在宅勤務の従業員については適合しない内容が多々あります。例えば、出社についての取り決め、在宅勤務でかかる費用(消耗品、電話代、電気代等)の精算方法、在宅での介助者をどう考えるかなどは、就業規則にはふれていません。どのように対応すればよいですか?

A14

 就業規則に在宅勤務に関する事項が盛り込まれていることが望ましいといえますが、在宅勤務の実施は最近のことですから、在宅勤務を考慮して就業規則を作っている企業は稀でしょう。(A7-2参照)就業規則に含まれていない項目としては、例えば以下のようなものがあります。

  • 出社や社からの訪問について
  • 勤務管理や報告の方法について
  • 就業場所について
  • 在宅での費用負担や精算方法について
  • 会社名義の貸借物の取扱いについて
  • 機密保持について

 また、就業規則の変更は組合との意見調整や他の規則との整合性をとる必要性などから、通常、多大な労力と時間を費やします。 
 そこで一つの方法として、在宅勤務者が入社する際に別途覚書きをとりかわすことが考えられます。契約書の様式や内容については、各々の事情に則したものとすればよいのですが、大切なことは、勤務が始まってから双方が「こんなはずでは...」と思うことのないよう、特にお金に関係することなどについては曖昧にせず文書で残すことが重要です。記憶に頼っていると担当者が代わったときに大変困ります。

コラム2-10

【事例】 在宅勤務就業規則

 H社は、第3セクター方式による情報処理サービスを行う会社です。現在、93名の従業員の内、40名が障害者でその内7名が正社員として在宅勤務をしています。 
 在宅勤務制度を採用するにあたっては、「重度障害者在宅勤務就業規則」を定め、それに則した就業管理を行ってきています。本就業規則では、25条の規則があり、具体的には、「目的、在宅勤務者の定義、規則遵守義務、採用、提出書類、定年、退職、解雇、服務規則、勤務の記録、勤務時間、休日、年次有給休暇等、給与、給与の支払、給与の控除、割増給与、時間給改訂、服務心得、遅刻・早退等、制裁、制裁の種類、教育、慶弔見舞金」等について定められています。
[H社のヒアリングより]

コラム2-11

【事例】 雇用契約書の取り交わし

 C社では、在宅勤務で雇用するにあたり、就業規則に含まれない部分について雇用契約書を取り交わしました。また、費用に関する契約書を別途取り交わしています。契約書には次のような費用に関する取扱いについて定められています。

  • 仕事部屋の電算機器・回線機器の購入又は賃借料
  • 仕事部屋のNTT回線設置工事費用、回線契約料・基本料・使用料
  • 仕事部屋の電気工事費用、電気使用料
  • 仕事部屋のOAテーブル・置き台、業務上必要な消耗品費
  • 出社に必要な交通費、介護者に関する費用
  • その他業務に必要な費用
  • 在宅勤務者の負担する費用
  • 自宅の改造費用
  • 精算方法及び金額
  • その他

[C社のヒアリングより]

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