コクヨKハート株式会社
在宅雇用企業事例
平成19年度登録
事業所名 | コクヨKハート(株)(法人番号8120001105274) |
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業務内容 | 印刷・製本業 |
従業員数 | 70名、うち障害者数35名(平成25年6月現在) |
在宅勤務者数 | 3名(平成25年6月現在) |
本社所在地 | 〒537-0013 大阪市東成区大今里南6-8-10 |
氏名 | 伊藤 剛 |
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障害(等級) | 身体障害(両上下肢機能障害) 1級 |
在住地 | 大阪市在住 |
使用補助具 (車椅子等・PC補助機器) |
車椅子(電動) PC補助機器は使用せずキーボードの配置を自身に合わせて工夫した。 |
雇用形態 | 1年間契約社員を経て正社員として採用した。 |
在宅勤務の状況について
1. 在宅雇用を導入した動機・経緯
①コクヨKハート(以下Kハートという)がテレワークを活用した障害者雇用の拡大を計画し、その業務内容をコクヨエンジニアリング&テクノロジー(株)(以下KETという)に相談した。
②Kハートへ業務を発注しているKETは、障害者雇用について親会社コクヨ(株)のグループ適用を受けていたが、独自に障害者雇用へも貢献したいと考えていた。
③KETは自社の業務を棚卸してみると、オフィス家具通販のための「オフィスレイアウトサービス」図面作成という業務が、障害者の方に適しているように思われた。
④この仕事は従来KETから外注(請負)していたが、障害者雇用、特に通勤困難な重度障害者が在宅で出来るのであれば、Kハートに外注してもよいと考えた。
⑤Kハートがハローワークへ求人票を出したところ、大阪市職業リハビリテーションセンターのCADパークから応募があった。
2. 在宅雇用導入にあたっての準備
①上記CADパークで訓練中の5名に対し約6ヶ月の講習を行う。
講習はコクヨ専用のCADソフトを使い、OJT方式で行った。
②図面作成の難しさだけではなく、業務納期が翌日という事で厳しかった。
③採用は5名中、伊藤1名だけとなった。
※6ヶ月間で職務の遂行状況を確認。納期を意識した仕事ができるか、問いかけへの返答など、技術面だけでなくビジネスマナー的な側面も把握。
3. 在宅での業務内容
オフィスレイアウト図面作成(平面図・3Dパース)
KETがお客様からFAXによりオフィスレイアウトのプランニングの依頼を受ける→KETオフィスレイアウトサービス部門からKハートの在宅勤務者へ図面の作成を依頼→ Kハートにて平面図・3Dパース図をCADソフトで作成→ Kハートの在宅勤務者からKETのオフィスレイアウトサービス部門に対して図面作成に関する確認や提案を行う→ 翌日KETからご依頼者へ確認・提案→ その結果をKETからKハートの在宅勤務者へフィードバック
KETとKハートの2社による役割分担と連携
KETは業務の確保とKハートの在宅勤務者のスキルアップなども支援する。Kハートは、日報・月次報告での体調・労務管理の仕組みづくりや在宅勤務者の改善要望などをKETも交え意見交換会などを実施し労務環境を改善するなど、『働きやすい環境づくり』に配慮と工夫を行う。
4. 企業としての障害者在宅勤務の考え方(メリット・デメリット)
<メリット>
①企業の社会的責任としての障害者雇用促進。
②特例子会社だけではなくグループ会社全員が障害者雇用を理解する。
<デメリット>
①安全衛生面での配慮が必要(在宅で一人で仕事を進めるにあたって特にストレスが溜まらないように)。
5. 処遇、勤務実態、業務の進行管理等について
1) 賃金と人事上の処遇 | 固定給と出来高給による月給制(パソコン使用料含む) 1年間契約社員を経て正社員登用 |
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2) 勤務実態 | 勤務日数:19日~22日/月 業務発注者コクヨエンジニアリング&テクノロジー(株) カレンダー通り 勤務時間:8:45~17:30(休憩45分) 出社状況:業務発注会社である「コクヨエンジニアリング&テクノロジー(株)」には、3ヶ月に1回、コクヨKハート(株)担当者も同席し情報共有会と懇親会を実施している。 |
3) 業務の進行管理 | 始業時:専用システムにログイン 終業時:シャットダウン 毎週:月曜日、勤務時間と完了物件の報告 毎月:勤務時間と完了物件を捺印提出、健康状態も報告 |
4) 業務遂行のための 援助者 |
業務発注者の配慮---業務難易度や納期について コクヨエンジニアリング&テクノロジー(株) オフィスレイアウトサービス部門 担当者 2名 雇用主の勤怠管理配慮---意欲喚起やストレス解消 コクヨKハート(株) 担当者 1名 |
5) 教育訓練・能力開発 | 業務の中で難度の高い物件に挑戦 オフィスレイアウトに関する本や外国オフィスの写真等をWEBで勉強 実際に図面作成したオフィスの見学 現在も土曜日の午前中に大阪市職業リハビリテーションセンターのCADパークで「CAD中級」を受講 |
6) 福利厚生・健康管理 | 社員慰安旅行に参加 専門医への定期通院と産業医への報告 社内行事への参加---無災害記録パーティー、懇親会など |
7) コミュニケーション/ 社内情報の提供 |
コクヨKハート(株)担当者が都度コクヨグループニュースや社内誌を送付するほか電話やメールで状況を確認 |
6.活用している助成制度
無し
在宅勤務のための就労機器について
1.在宅勤務のために設置している機器(複数)
会社貸与のパソコンを利用
コクヨCAD専用ソフトをインストール
2. 1.で回答した各機器(通信回線の設置、加入料、使用料等も含む)について
(1)購入、設置等 | 会社貸与 |
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(2)メンテナンスの契約等 | 会社負担 |
在宅勤務者へのインタビュー(平成19年10月実施)
氏名/年齢 | 伊藤 剛 26歳 |
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仕事内容 | オフィスレイアウト図面作成 |
勤続年数 | 1年 |
在宅雇用となった時期 | 平成19年3月20日 |
採用経路(支援者・団体等) | 大阪市職業リハビリテーションセンター |
◇◇◇質問Q◇◇◇◇◇
◆ 現在の仕事を行うために、教育など準備はしましたか。
大阪市職業リハビリテーションセンターでCAD習得 平成18年5月から10ヶ月 雇用先の講習(オフィスレイアウト図面作成) 6ヶ月 |
◆ この在宅雇用が決まるまでの、仕事を含めた状況をお聞かせください。
大学は経営情報学部でPCプログラミングを専攻、卒業後奈良県内で求職活動をしていましたが、体調の事もあり就職には至りませんでした。そんな時、大阪市職業リハビリテーションセンターでCAD講座があるのを知り、どう仕事に繋がるかはわかりませんでしたが、興味もあり好きではあったので受講することにしました。 |
◆ 在宅でのお仕事はどのような方法で、進めていますか。
始業時:専用ソフトにログイン、終業時:シャットダウン、コクヨ専用 CADソフトでオフィスの平面図・3Dパース図を作成、1日に3~4 物件、月間で35物件くらいを担当し作成毎週月曜日に勤務時間と完了物件を連絡、毎月月次報告書に捺印して提出。
◆ 在宅における仕事の仕方で、気をつけている点などをお教えください。
納期が翌日なので依頼の図面をいただいて、小さな疑問点でもすぐに質問します。自分でこうだろうと決めつけてしまうと後々で担当者に迷惑をかけてしまうので簡単な事でも早い対応を心がけています。 レイアウトの力をつけるために件数をこなしていきたいので、前日で仕事が完結しているときには、自分から物件をいただくようにしています。また、提出したデータは添削していただくので、そのコメントを読んで勉強しています。 疲れやすいということで日々の就業時間内に仕事が終わるように心がけ、就寝時間を規則的にする事で健康を維持し、翌日の仕事に備えるようにしています。現在、在宅勤務者が一人であることを意識して責任を持って仕事に取り組んでいきたいと思っています。 |
◆ 今後やってみたい仕事など、豊富を教えてください。
現在も受講中の「CAD中級」も継続し、レイアウト能力を高め、他にはカラーコーディネーター資格の取得に向けて、少しずつ勉強しています。変な言い方ですが、病気で車椅子に乗っている事をいかして、こうした取材を含め、在宅で働ける事をより多くの方に知っていただけるようにアピールする事が、今、自分にできることだと考えています。
仕事以外にも、現在車椅子サッカーチーム『ビクトリーロード奈良』に所属し活動に参加しています。全国大会にも出場しサッカーをする事で、また仕事も、がんばろうと思え励みになっています。
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