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事例6

在宅就業実態調査

企業および事業の概要
業務内容 不動産流通業
従業員 2,400名
本社所在地 東京都

在宅勤務者の属性、雇用形態
性別 女性(3名)
障害 脊髄損傷・体幹障害・内臓疾患 夫々1級。但し、上肢は健常者並みにPCを操作できることが必要。
在住地 東京都
使用補助具
(車椅子等)
車椅子、PCは本人が別に所有していても、暗号をかけたPCを貸与し、回線費も負担
雇用形態 契約社員(1年更新)

1.在宅雇用形態を導入した動機、経緯

雇用率1.8ポイントの達成が目的である。
平成10~12年、一般管理部門に在籍した障害者の担当業務は、個人情報が絡むデータや社内の諸データの入力が主であったが、一人1台までパソコンが社内で普及し、入力業務が減ってきたため、新規の障害者の採用が停滞した。反面、会社の成長が続き、人員は増え続けたため、雇用ポイントは1を割るまで悪化した。そのため、発想を変え、現場営業所の営業担当の助けとなるPC関連業務と印刷業を中心に、営業補助的な業務を構成し、5名配置した。今回、積極的に1.8達成を目指すため、そのPC業務の一部である間取り図の作成をさらに抜き出し、全社的には従来外注が主であったその業務を一部内製化し、在宅勤務で行うこととした。18年6月から在宅勤務制度での新規採用を開始した。
これまでNPO法人の推薦他で在宅勤務者だけもで3名採用し、1.8を19年2月に達成した。
今後も障害者雇用を進めるため、ハローワークや紹介会社も活用し、募集活動を行っている。

2.雇用管理等について

1.在宅勤務の概要、企業としての障害者在宅勤務の考え方(メリット・デメリット)

メリット:
・ 雇用率の達成により、企業の社会的責任が果たせる。
・ 通勤が困難な方が持っている技能を活用できる。
・ (在宅のPC環境の支援体制が組めれば)全国規模での採用が可能となる。
・ 事務所費・通勤費用等のコスト削減で補える。
・ 不足するオフィススペースのいっそうの逼迫を避けられる。
・ 現在の主たる外注先への発注が困難になった際、生産を一定程度担保する”保険機能的なサブシステム”として位置づけている。

デメリット: 
・ PC環境の支援体制コスト、作成図面の受発注・構成業務の委託外注コストが発生する
・ (社内のイントラネットとは遮断しているため)在宅勤務社員への各種情報伝達を手作業で送らざるをえない
・ 自社研修センターも本社ビルにも、障害者用トイレが1箇所しかなく、集合研修が組めない
・ コミュニケーションが不足になりがちになる。

2.在宅での業務内容

簡易な間取り作図専用ソフトを使って、マンション・一戸建て・土地の「電子的な図」の書き起こしです。
営業所から(管理委託を受けている子会社経由で)お客様の間取図をPDFデータで預かり、その図面をコンピューター上で下絵とし、上に新たに図を書き起こし、会社が定めたルール、例えば、統一した文字表現や部屋ごとの着色を行い、管理委託社のチェック通過後、納品します。

3.処遇、勤務実態、業務の進行管理等について

1) 賃金と人事上の処遇 在宅勤務0級から3級までに区分している。入社時は1級に仮認定し、所定の年収とする。会社としては最も使い勝手の良いソフトを在宅勤務者に提供するなど生産性の向上に努めている。健常者の業務スピードの半分程度までを下限(=0級)とし、作図の速さ(⇔出来高)や精度(=不鮮明な図面の読み取り力+作図ミスのなさ)を中心に、賞与を査定している。さらに作図実績と勤務実績(=年数・欠勤日数…)に加え、高度な作図ソフトの使いこなしや後輩への指導力(=講師業務)等を考慮した考課を基に、昇格(=年収アップ)審査を行う。
2) 勤務実態 ・午前10時から午後6時(12:30~13:30昼休み。実働7時間)
・毎週水曜日及び第1/3/5火曜日を休日とする。
3) 業務の進行管理   ・業務開始・終了時には、所属部門長と管理委託先の子会社に、メールにて出退勤とその日の受注と修正・納品実績を報告する。受注・納品や検品・修正指示のやりとりは総て管理委託先と行う。週1回、作図実績の週報(エクセル)を提出する。
4) 教育訓練・能力開発 ・入社時の研修は、2-3日ほど出社して実施する。その後一ヶ月間程度、練習作図と修正の繰り返しで、習熟を図る。更に年に1~2回、全体の水準の底上げのため、本社で勉強会形式の研修を行う予定。
・在宅勤務者が作図に熟練し、最上位のレベルに達した場合、(適当な研修会場が見つかれば)より高度なソフト「イラストレーター」の技術習得や、作図以外も幅を広げるべく、エクセルの中級の習得(グラフ・数式、論理式…)に向かうことを、検討する 。
5) 福利厚生・健康管理 健康診断を年1回、東急病院健康管理センターで実施。共済組合の保養所や、契約している会社が提供する福利厚生メニューは申し込める。有給休暇の取得は、一般の契約社員と同じ。
6) コミュニケーション/
  社内情報の提供
メール、携帯電話を使い、いつでも連絡が取れるようにしている。社内情報の提供は、現在は不安定な状態である。 社内のイントラネットで社員に掲示・通知している情報は届かない。そのため、一定の情報は送る・送らないの「通知基準」を作り、同時に「在宅勤務者各位」という宛先分類を新設し、その区分に入った情報は、内容を担当者が斟酌せず、在宅勤務社員へ手作業で送る方式を検討中。

2.在宅勤務のための就労機器について

1.在宅勤務のために設置している機器(複数)

通信回線、 パソコン(会社から貸与-個人所有のパソコンは作図に使用させない)

2.1.で回答した各機器(通信回線の設置、加入料、使用料等も含む)について

(1)購入、設置等 会社負担。研修等で本社来社時の駐車場代は全額会社が負担する。ガソリン代は現在は未支給。
(2)メンテナンスの契約等 首都圏の概ね30Km圏の範囲に限定し、PC環境整備・メンテ業務を外部に委託している。
(3)消耗品等の扱い 業務上の必要に応じて会社で提供

3.この機器に関する在宅勤務者の考え方、他にどんな機器(あるいは現在使用の機器で別の機種)があれば仕事の効率があがると思うか。

特になし

4.企業側の機器設置の考え方と現設置機器の新旧、適性度等

ウィールス感染した電子情報の進入を防ぐため、駆除ソフトを自動的に更新する専用パソコンを貸与する。
企業情報・個人情報の流出を防ぐため、(専用回線の設置は取り止め)一般回線を使用し、社内のイントラネットとは遮断している。

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