在宅雇用 企業事例⑨ 株式会社 広島情報シンフォニー  http://www.symphony.co.jp/ 在宅勤務に適した業務を見つけて、新たな雇用を掘り起こす 重度障害者を多数雇用のモデル企業だけあって、職場環境から社員の意識面までバリアフリーを図り、 在宅雇用も積極的に行っています。在宅雇用対象の業務も受注し新たな雇用機会を生み出しています。 広島情報シンフォニーは、広島県・広島市・㈱中国サンネットの共同出資により、第三セクター方式で 運営される重度障害者多数雇用事業所です。完全参加とノーマライゼーションの理念をもとに バリアフリーの環境を整え、地域社会における障害者雇用の先導的役割を果たしています。 事業のひとつである情報処理サービスではユニバーサルデザインの考え方を貫き、また福祉機器の開発にも 力を注ぐなど、人にやさしい社会の創造に貢献しています。 名称:株式会社 広島情報シンフォニー 創立:1988年4月(1989年5月操業) 事業内容:情報処理サービス、プロフェッショナルサービス、オフィスオートメーションサービス、研究開発 所在地:広島市東区牛田新町2-2-1 TEL:082-222-8211 FAX:082-223-8010 ホームページ:http://www.symphony.co.jp/ 環境だけでなく、社員全員の意識が障害を取り払う ▲企画部福祉推進室長 河野能成さん 広島情報シンフォニーは障害者雇用のために生まれた会社です。 働く環境はもちろんですが、まずは障害者と健常者の垣根をなくすメンタル面でのバリアフリーを図ることが重要です。 この社員全員の意識改革によって、分け隔てなく皆平等に働ける場となっています。 在宅雇用は今から11年前にスタートしました。働きたいという意欲を持っている方を積極的に採用し、 プログラム開発とキーオペレーターの業務で活躍しています。 また勤怠管理については、毎週月曜日に電子メールで週間報告をさせています。 その内容によって訪問するなど、メンタル面のフォローも行っています。 TV会議システムによる地図作成の受注で、在宅雇用の仕事に広がり ▲広島情報シンフォニー WEBトップ画面 在宅勤務者の業務はルーティンワーク(単純作業)が主体でしたが、デジタル地図作成という コンテンツ分野での業務の受注をきっかけに、これを在宅勤務者の業務にすることにし、在宅雇用の拡大を図りました。 技術面のサポートは、受注先のセンターに常駐するスーパーバイザーがPCのテレビ会議システムを利用し、操作等の 質疑で画面共有機能を活用することで、在宅勤務者とお互いに顔を見ながらリアルタイムで作業を進められる画期的な システムでやり取りをしています。 現在9名の在宅勤務者を雇用し、4月中旬から3名追加し合計12名体制で実施する予定です。 今後も障害者が喜びを持って働ける場所の提供と、企業として収益を上げていけることが上手く機能し、 経営とリンクすることで、企業の在宅雇用の場はどんどん増えると思います。 まだまだ収益面で厳しい状況ですが、先駆者的な企業となれるよう積極的に取り組んでいきたいと考えています。 雇用の現状 募集方法 広島県内のハローワークで公募 在宅就業者数 14名 障害の状況 重度障害者1級〜2級を対象 身分 契約社員 雇用契約 時間給、更新期間1年 勤務時間 9:00〜17:30 業務内容 地図入力業務 修正作業、新規入力作業 留意点 メンタル面のケアを重視 コミュニケーション方法&内容  簡易テレビ会議システム(PC・高速回線)を使用し、テレビモニターで監視及び業務の指示・確認を行う。 書類や勤怠管理はメール。有給休暇等の押印が必要な書類は郵送にて管理 PICK UP!−パソコン検定が役に立ちました− ▲砂田かおりさん 先天性骨形成不全症(障害者手帳1級) 昨年4月から職業訓練校に半年通い、夏休みにハローワークへ行ったときに、広島情報シンフォニーの 地図作成業務を紹介されたんです。訓練校の主管に相談したら、「こういう仕事はなかなかないからチャンスだよ」 と言われて面接を受けました。 初めてだからすごく緊張して汗が出て。でもその場で採用を決定していただいて、嬉しかったです。 頑張ろう!という気になりました。 まだ入社して4か月ですが、仕事を始めてみて、学校でパソコン検定を受けていてよかったと思いました。 勉強していなければ難しくて挫けてたかもしれません。 就職自体初めてで在宅勤務も始めてなので、体調管理には気をつけています。1時間ごとに5分ぐらい休憩して、 自分で調整しながら作業している状況です。河野さんも1か月に1回は訪問してくださるし、コミュニケーションも 問題ないですね。このまま定年まで働きたいです。 在宅雇用を考えている企業へのアドバイス 在宅雇用の導入にはどうすればいいいか悩む企業も多いでしょう。 障害者の立場になって考える(行動してみる)とどういう設備や配慮が必要か見えてきます。 受け身にならず、積極的に障害者の方と会話することが大事だと思います。 ここがポイント ・在宅雇用の採用基準  在宅での勤務は就労意欲や向上心を失いやすい環境にあるため(仕事の相談が出来ない等)、  技術面よりも本人のやる気を重視しています。  働きたい、社会に参加したいという前向きな姿勢を見極めることが基準のポイントです。 ・向いている業務を提供  一般社員と同じように定年まで働ける場であるためには、ひとつの技術を身につけて その技術でずっと続けることができる仕事をみつけることです。 変化による心身の負担もかからず、在宅向きといえます。