在宅雇用 企業事例⑥ 株式会社 豊田自動織機  http://www.toyota-shokki.co.jp 仕事の「与え方」の工夫によって、人材育成と社内改革成功 初めての障害者雇用ということもあり、豊田自動織機のサポートは細部にわたっていて、とても力を注いでいるのがよくわかります。 当人の能力とサポートする体制がかみあえば、企業にとって大きな戦力となります。 トヨタグループの母体である豊田自動織機は、15年ほど前から法定障害者雇用率の達成を目指すとともに、 社会貢献の取り組みとして障害者雇用を推進してきました。その中でいち早く在宅雇用も始めました。 名称:株式会社 豊田自動織機 創立:1926年年11月 事業内容:輸送用機械器具製造業 所在地:愛知県刈谷市豊田町2-1 TEL:0566-22-2511 FAX:0566-27-5650 ホームページ:http://www.toyota-shokki.co.jp 専門分野で秀でた能力を活かす仕事の入り方と進め方 ▲グローバルIT部 福森栄次さん 豊田自動織機が在宅雇用を導入するきっかけになったのは、業務とマッチする人材だったことに尽きます。 近藤健一さんは大学の工学部機械科でエンジン関係の研究をしていたこと、大学教授の推薦だったことで、 スムーズに採用決定になりました。入社は大学院卒業後でしたが、その間研究テーマを与えて事前学習を進めたことによって、 業務の移行もスムーズにいったそうです。 業務管理は一般社員と同じ社内のイントラネットを活用し、業務内容も発注先への連絡から打合せ、 報告書作成まですべて近藤さんが行っています。 よき上司でありパートナーでもある福森栄次さんは、何よりも仕事の与え方が重要だと明言します。 「何かを調べてもらって、そこから回答を得て仕事を完了させるような流れが必要ですね。ただ『この表を埋めて下さい』、 という仕事の出し方はよくないです。 『ネットで調べてどこかの会社の平均値を入れて下さい』となると調査が必要でしょう?そういうことです」。 相乗効果で会社の内部改革にもつながる結果に ▲人材開発室 係長 吉田眞一郎さん 福森さんと近藤さんが進めてきた、どんな仕事でも最終的にどういうプロダクトになるのかイメージトレーニングし 理解した上で作業するというやり方が、結果的に会社の内部改革にもなりました。 「問題が発生したときに解析の依頼が来るのですが、何が原因でそうなったのか調べる必要がありますよね。 そこで引き受けるだけだけでなく、依頼先にも実験をお願いするわけです。 実験は解析の再現ですから、近藤君にどういう実験を要求すればいいか聞きます。 彼らにしたらたくさん宿題を抱えるハメになって大変です。 でもそこをきちんとしないと真の真価は生まれてこないんです」と福森さんがいうように、今では社内その方法は浸透しているようです。 在宅雇用によって、また福森さんの指導によって会社が得た物は大きく人材開発室の吉田眞一郎さんも 「定期的に採用するまでは行かないですが、近藤さんの例のように必要な戦力であれば」と前向きに考えています。 雇用の現状 募集方法 会社のニーズにマッチしたとき 在宅就業者数 1名 障害の状況 頚椎損傷による四肢体幹機能障害(障害者手帳1級) 身分 正社員 雇用契約 月給 勤務時間 基本として5日/週、8時間/日 業務内容 仕事の調整、仕事の社内へのアピール、電子作業環境の整備 コミュニケーション 電話、メール、出社時のミーティング、社内電子掲示板  コーディネーターの役割 ・業務の立案、数値解析、技術確立報告書の作成等、業務全般 ・また定期打合せの日の設定、会議室の予約も行っている 留意点 ・できる限り通常勤務者と同じ環境に ・頻繁な出社とならないよう注意 PICK UP!−勤続13年は会社の万全なサポートのおかげです− ▲近藤健一さん 頚椎損傷(障害者手帳1級) 最初にPC2台、プリンタ、ファックス、机、本棚を会社から支給されたときに、しっかり受け入れてくれたんだなと思って嬉しかったですね。 最初の1〜2ヶ月で同じ課の方が出向いて機器の使い方から日報の書き方まで教えてくださったのもありがたかったです。 在宅で仕事をしていると社内の雰囲気もわからないというのもありますが、グループ内の連絡事項はすべてメールで流れてきますし、 大まかな仕事の流れがつかめるので助かっています。 こうして13年も続けてこれたのは、おもしろい仕事ができたからですね。知らないことが多く、新たな興味を持って臨めるんです。 出社や出張などの移動に家族の介護が必要ですが、車を降りてしまえば会社のサポートもありますし、全く問題ないです。 そういう意味でも、会社のサポート体制は在宅勤務をする上でとても重要だと思います。 豊田自動織機 WEBトップ画面 ここがポイント ・障害状況に応じた配慮と研修が必要 社内の設備や自宅の機器類の支給をはじめ、社員の訪問による初期研修など万全の体制で迎え入れています。 業務面では障害を考慮し、マウス操作が少ない状態に加工して仕事を発注しています。 ・2週間に1度のミーティング 発注先と、仕事の進み具合の報告、問題点、今後の方向性を話し合う必要があり、体調と作業スピードを考慮して 2週間に1度のミーティングを設定しています。