在宅雇用 企業事例④ 株式会社 テレビ朝日 http://www.tv-asahi.co.jp 在宅雇用者の障害や個性に合わせたサポート体制 2002年から始まった在宅雇用も現在は2代目で、試行錯誤のなかで得た教訓を活かしたサポート体制は学ぶべきものがあります。 字幕放送の画面作成という業務自体が障害者の支援につながっていることもあって、職場全体で細やかに配慮されており、 働きやすい環境を作っています。 放送事業者であるテレビ朝日には公器としての社会貢献理念があり、障害者雇用もそのひとつ。 2000年頃から、社会福祉法人東京コロニーに相談しながら具体的に取り組み始めました。 そして仕事の内容を障害者の支援という同じ意味合いを持つ、字幕放送の画面作成に決定。 在宅雇用を開始して約3年経ち、起動に乗ってきたところです。 名称:株式会社 テレビ朝日 創立:1957年11月 事業内容:テレビジョンによる放送事業並びに関連事業 所在地:東京都港区六本木6-9-1 TEL:03-6406-1111(代) FAX:03-3405-3785 ホームページ:http//www.tv-asahi.co.jp 教訓を活かして、在宅で研修 テレビ朝日が在宅雇用を始めたのは3年前。その経験を生かして昨年には新卒を採用、 最初の在宅雇用で得られた教訓から改善も図っています。 もっとも大きな変更は、会社ではなく自宅で研修を実施したことです。「前回の時に出社されるのが大変だったんですね。 私達が自宅訪問して研修すれば、時間も有効に使えますよね」と文字制作局長の粟野英一さん。 新たに採用した木村さんは内臓疾患で、数時間おきの透析が必要です。 お昼の休憩時に食事と透析を済ませる形で、かなり効率よく研修できたそうです。 人事部の鈴木健一郎主任も「障害の状況はそれぞれ違うでしょうから、その方に合わせた対応をすることが大事だと思います」 と話します。 ▲右/人事部主任 鈴木健一郎さん 中/文字字幕制作局長 粟野英一さん 左/文字字幕制作局主任 山梨俊美さん 仕事もコミュニケーションもさりげない配慮が継続の秘訣 その他にも気をつけているのがコミュニケーションです。メールでの勤務報告も、日常のことをさりげなく盛り込んで 交流を心がけており、業務面でも文字字幕制作局主任の山梨俊美さんがきめ細かく配慮しています。 字幕放送の画面作成は1時間番組を週に1本立ち上げるペース配分で、出来上がったら出社して社員と一緒に試写を 見ながらディスカッションするする形です。その体制は会社の一員であるという認識と孤立感をなくす役目も果たしています。 また番組にはさまざまなジャンルがあります。番組によってはスケジュールに余裕がないことも多く、 仕事の割り振りも重要なポイントです。 無理のないよう余裕のある番組を選別し、絶えず仕事を依頼することを心がけています。 1年経ち、今では安心して任せられるほどになったそうです。 「心配なことは頑張りすぎて体調を崩さないように、それだけですね。ホントに珍しいぐらい真面目な方ですから」と粟野局長。 今後はもう1人採用を考えているそうです。 雇用の現状 募集方法 一般公募 在宅就業者数 1名 障害の状況 腎臓機能障害(障害者手帳1級) 身分 契約社員 雇用契約 月給 更新期間1年 勤務時間 10:00〜18:00 業務内容 文字放送(字幕放送)制作作業 コミュニケーション方法 メール、電話、出社 コーディネーターの役割 勤務管理と業務内容管理 留意点 顔が見えない分、可能な限り丁寧なコミュニケーションをとる PICK UP!−障害者の支援にもなる文字放送に携われて嬉しいです− ▲木村風さん腎臓機能障害(障害者手帳1級) もともと手話に興味があって習ったりしていて、就職活動の一環での企業合同説明会に参加したとき、 テレビ朝日の字幕作成という業務に興味を持ちました。 障害者の支援ということで手話と通じるところもありましたから。ただ在宅勤務というのは内職のようなイメージがあって、 できるかなあと思っていました。 始めてみて、字幕作成は難しい反面やりがいがあって、楽しくできるし、思った以上に身体も楽ですね。 ただ身体への負担が少ないからといって無理をしないようにしています。ひとりで仕事をするのは寂しい面もありますが、 会社への不満はないですね。 出社したときにお客さん扱いされないよう、仕事をもっとちゃんとしないと、と思っています。 在宅雇用を進める企業へのアドバイス 目に見えない相手の状況がつかみきれないと不安になるものです。それを取り除くのにはメールのやりとりの一言だったりします。 在宅雇用者の個性に合わせた接し方を心がけることだと思います。 ▲テレビ朝日 WEBトップ画面 ここがPoint! ・週1回程度の出社で交流を 仕事の上がりを届ける出社は、試写でのチェックだけでなくコミュニケーションを図る役割もあり、 また気分転換にもなるという3つのメリットがあります。 ・能力と体調に合わせた仕事の配分 コーディネーターの役割でもっとも大きく、無理のない範囲で仕事を選ぶのと同時に、 本人のスキルアップに合わせた仕事を提供していくことも、意欲の持続につながります。