非雇用15 Case study ホームページ作成の習得を基礎から実践までサポート スキルを向上させ、在宅就業に結びつける Profile 支援団体 特定非営利活動法人 障がい者自立生活センター「ほっと大仙」 ●所在地:秋田県大仙市大曲中通町1-29 ●・0187(62)7766 FAX0187(62)7766 ●URL:http//www.hotdaisen.jp/ 【事業内容】  「バリアフリー社会の推進及び勉強会等啓発事業」として、公共の建築物・道路等のバリアフリーの調査や啓発活動、また、障害者福祉に関する見学や視察、講演会を実施している。また、障がい福祉サービス事業所「ほっぺ」を運営し、指定障害福祉サービス事業所として就労移行支援、就労継続支援B型をおこない、障害者の社会参加及び就労支援を行っている。 支援対象者 Aさん ●在住地:秋田県 ●障害種別:身体障害(1級) ●障害状況:頚椎損傷による両上下肢の機能障害。電動車いすを使用し、家庭では電動ベット、昇降用リフト、スロープ、食事用自助具を使用している。ホームヘルパーと家族による介助を受けている。 【これまでの経緯】  高校卒業後、電子部品の製造会社に就職するが、半年後、交通事故により受障。ITを活用した在宅就業を希望しており、平成17年10月からITに関する技術・知識の習得を目指して支援団体「ほっと大仙」のホームページ作成研修に参加。その後、同支援団体において就労継続支援B型のサービスを利用し、平成18年10月から在宅就業を開始した。 主な訓練内容 期間 バーチャル工房〜IT技能習得実践塾〜 平成17年10月〜12月(3ヶ月) 訓練内容 ・プログラムの基本(HTML)の学習 ・ホームページ画面についての文字色、  背景、文字サイズの変更、レイアウト の基本(CSS)を学習 ・作品制作とプレゼンテーションの演習 ・著作権法についての講義 受講方法 ・会場を借りて実施(会場まで通所) ・1〜2週間に1回の頻度で全8回開催 ・講習時間は13時00分〜17時00分  (途中15分の休憩を2回はさむ) テキスト 教材 「標準Webデザイン講座」翔永社 「HTMLスタイルシート トレーニングブック」ソーテック社を講義で使用 受講料 テキスト代 4,480円 Aさんの在宅就業の内容 請負業務の内容 ・ 「ほっと大仙」のホームページ作成と   管理・更新 ・ 他法人のホームページ作成と管理・更新 ・ 講演会等他法人のイベント用チラシの   作成 作業時間 これまで上記作業に従事した時間 ・延べ約500時間 ・延べ約100時間 ・延べ約20時間 作業場所 自宅 障害への配慮事項 家族やホームヘルパーの介助を受けて、お尻が床ずれにならないように休憩しながら、不足しがちな水分を補給するなどして体調を維持している。 用語解説 「就労継続支援B型」  障害者自立支援法に定めるサービスの1つ。一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うサービスであり、雇用契約を前提としないもの。 「ほっと大仙」のある事務所。福祉店舗「ほっぺ」も運営している Aさんが管理・更新している「ほっと大仙」のトップページ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 支援内容 ウェブデザイン作成講座の開催と 就労継続支援B型の利用で 在宅就業を支援 障がい福祉サービス事業所「ほっぺ」 理事・施設長 奈良 克久さん support 支援団体 支援対象者 Aさんの訓練への支援 ホームページ制作に必要な基礎知識と技術の習得を支援  ITを活用した在宅就業を希望するAさんに、インターネットの活用と制作ソフトを使ったホームページやCG等を作成できることが参加条件である「バーチャル工房〜IT技術習得実践塾〜」の参加をすすめ、ウェブデザインのスキルアップを図った。  実践塾では、秋田公立美術工芸短期大学から招いた講師がホームページのウェブデザインを作成する方法を指導。HTML言語を使ってプログラミングする基本から始め、スタイルシートを使ったウェブデザインのスキル習得を支援。技術の習得だけでなく就職に必要な知識である著作権の学習やプレゼンテーションの指導も実施した。 ▲「バーチャル工房〜IT技術習得実践塾〜」の様子 Aさんの在宅就業への支援 スタッフが依頼先との間に入り、仕事内容を整理  発注元の企業との細かい打合せやデータのやりとりの問題などについては「ほっぺ」のスタッフが間に入り内容を整理した上で本人に伝え、作成業務に専念できる環境づくりをしている。 ▲Aさんとのやりとりはメールが基本 ホームページ制作請負のためのノウハウを訓練  ホームページ制作の営業やプレゼンテーションを「ほっぺ」のスタッフとともに行うことで、請負制作に対する一連の仕事の流れの理解をうながしている。また、本人の社会人経験が少ないことから、業務用メールの書き方に不慣れな面が見られたため、メールの挨拶文等の出し方に添削を加え、上達するまで指導を繰り返し行った。 ▲指導にあたる「ほっぺ」のスタッフ comment  以前は他の障害者と会う機会が少なく、家と介護施設の行き来だけで、さみしい思いをしていました。その後、支援団体の「ほっと大仙」と関わるようになって、外出する機会が増え「IT技術習得実践塾」にも参加することができ、多くの仲間と知り合え就業に対して前向きになりました。  これからは、仲間に負けないようさらにスキルアップして、ネット通販など販売の仕組みをつくれればと考えています。今はまだ実家で生活していますが、将来的には家を出て自立できるよう頑張っていこうと思っています。(Aさん) 支援ノウハウQ&A Q 在宅就業を進めていく上で請負業務(受注)の拡大に向けて工夫していること取組んでいることがあれば教えてください。 A 職員が外に出る機会やさまざまな方に合う機会を増やすことで、特別支援学校の先生やクライアントなどの人脈を広げ、受注につながるようなきっかけづくり、話題づくりができるように心がけています。全職員が名刺や印刷物作成のビラを積極的に配ってもいます。 ・「ほっぺ」のIT班スタッフが、パソコンを使って印刷物の依頼をうながすビラや名刺などを作成している