雇 用12 Case study ボランティア講師による個人レッスンで、 本人の習熟に合わせたサポートを実践 Profile 支援団体 特定非営利活動法人 ぶうしすてむ ●所在地:愛媛県松山市御幸2-1-16 ●・ 089(923)5002 FAX089(927)1557 ●URL:http://www.busystem.jp/ 【事業内容】  平成9年設立。パソコンの面白さや操作法を伝えるパソコンボランティアの養成と派遣事業を行っている。平成16年から就業支援としてIT講習を開始。平成17年からメンバー有志により、障害者在宅就業ネットワーク「Manufacture BU」を立ち上げる。このネットワークを活用し、講習会の開催や在宅就業の受注から謝金の支払いまでの一貫したシステムを構築し、障害者の就業を支援している。 支援対象者 玉井 美奈子さん ●在住地:愛媛県 ●障害種別:身体障害(6級) ●障害状況:左上下肢機能障害 【これまでの経緯】  専門学校卒業後、広告会社において勤務経験あり。平成3年に受障。平成16年から1年間、広島の障害者職業訓練校で学ぶ。えひめ障がい者就労・生活支援センターに就職相談をしたところ、支援団体を紹介してもらう。平成18年の県立松山高等技術専門学校受託「知識技能習得科:IT基礎マルチコース」及び個人レッスンを経て、平成20年から就職。 雇用先 C社 ●所在地:愛媛県 雇用のきっかけ  ハローワークの求人募集の中にC社があり、えひめ障がい者就労・生活支援センターの支援相談員が玉井さんを推薦。面接を経て採用となった。 玉井さんの雇用状況 従事業務 自社製品のデザイン画作成 雇用形態 会社において勤務 契約社員(1年) 勤務時間 8時30分〜17時30分 (昼休憩1時間、10時・15時に10分間休憩) 賃金 月給制 配慮した事項 障害特性から無理をしない仕事のペースを維持するように配慮。 ▲玉井さんがイラストレーター、フォトショップを使って描いた作品。 用語解説 「障害者就業・生活支援センター」  就職や職場への定着に当たって就業面における支援とあわせ、生活面における支援を必要とする障害者を対象として、身近な地域で、雇用、保健福祉、教育等の関係機関との連携の拠点として連絡調整等を積極的に行いながら、就業及びこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う施設。都道府県知事が指定する民法法人、社会福祉法人、特定非営利活動(NPO)法人等が運営している。(平成20年4月現在、全国に202センター) ◆就業面での支援  ●就職に向けた準備支援(職業準備訓練、職場実習のあっせん)  ●就職活動の支援  ●職場定着に向けた支援  ●障害のある方それぞれの障害特性を踏まえた雇用管理についての事業所に対する助言  ●関係機関との連絡調整 ◆生活面での支援  ●生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の日常生活の自己管理に関する助言  ●住居、年金、余暇活動など地域生活、生活設計に関する助言  ●関係機関との連絡調整 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 支援内容 将来の仕事に結びつくスキルを見定め、 ボランティア講師による個人レッスンを展開 特定非営利活動法人 ぶうしすてむ 二神 重則さん support 支援団体 支援対象者 雇用前 将来の仕事のビジョンを重視し、 就職後に活用できるスキルを提供  玉井さんは広告会社での勤務経験があり、デザイン関連の仕事に就きたいという希望から、就職後に活用できるソフトウエア(フォトショップ、イラストレーターなど)の習得を支援団体のボランティア講師による個人レッスンで平成18年10月から約1年間行った。この訓練と並行して平成18年10月から12月までの3か月間、障害者委託訓練「知識技能習得科:IT基礎マルチコース」においてOA関係(エクセル、ワード、インターネットなど)の実技を身に付けてもらった。えひめ障がい者就業・生活支援センターの人材ネットワークと支援団体のサポートが結びつき、ハローワークを通じてC社を紹介、採用に至った。 雇用後 IT講習会などに参加を促し、 新しいスキルの習得を図る  雇用後も、支援団体のボランティア講師が日常的に連絡を受けることで、技術面・メンタル面などのサポートを行っている。現在は、雇用前に習得したパソコンスキルがそのまま就職先で活かされているが、必要に応じて最新のソフトウエアを扱ったIT講習などに参加してもらう予定。 ▲玉井さんが受講した障害者委託訓練「知識技能習得科:IT基礎マルチコース」 comment  平成3年に交通事故に遭い障害者になりました。ハローワークで仕事を探したものの、体力面に自信がないのが悩みでした。かつて経験したことのあるデザインの仕事に就こうと考え、えひめ障がい者就業・生活支援センターに相談に行きました。センターのTさんの紹介で、ぶうしすてむのIさん(ボランティア講師)に出会え、そこでたくさんの人との楽しい交流、グラフィックの技術を習得することができました。目標に向かう意志とたくさん人との出会いに恵まれ、今の私がいます。 (玉井 美奈子さん) 雇用先 C社への支援  ハローワークの障害者の合同就職説明会を通じて、本人が直接C社と面接、採用の話が進んだ。  C社は障害者雇用に対する理解があり、玉井さんとの雇用関係はたいへん良好。また、社内に専門の相談員がいるため、現在のところ支援団体からのアプローチは予定していない。 comment  えひめ障がい者就業・生活支援センターから紹介を受けて、玉井さんにタイムリーな講習を行うことができました。当初は、記憶障害などもあり不安な部分もありましたが、無事講習をやり遂げることができました。障害者によっては、スキルを磨いてようやく就職がかなっても、職場環境が合わずに退職してしまうケースもあります。今回は、本人のやる気と企業の求める人材がかみ合った好事例だと感じています。 特定非営利活動法人 ぶうしすてむ 二神 重則さん 支援ノウハウQ&A Q 障害者の就職先を探すために、どのような機関と連携していますか? A ぶうしすてむの代表的な連携機関は、障害者の就職支援や生活支援を行う「えひめ障がい者就業・生活支援センター」、障害者に対する職業訓練を行う「松山高等技術専門校(障害者コース)」、ハローワークなどです。現在、えひめ障がい者就業・生活支援センター主催で年2回、障害者雇用に関する関係者会議が開かれ、行政機関やNPO法人、授産施設などさまざまな顔ぶれが集まって、障害者雇用の現状について話し合っています。こうした場での情報交換が、障害者一人ひとりの安定雇用に結びついていると実感しています。