雇 用8 Case study 支援企業のコンサルティングで企業が抱える課題の解消と在宅雇用のメリットを提案 Profile 支援団体 株式会社アンウィーブ ●所在地:大阪府大阪市西区靱本町2丁目2-17 RE006-401号 ●・06(6479)1303 FAX_06(6479)1301 ●URL:http://www.unweave.jp/ 【事業内容】  ホームページの制作・運営・管理システムや検索エンジンの管理・運営システム、社内管理システムなどを『すべての人々にやさしいIT』としてシステム化(アンウィーブシステム)し、“在宅でそれらを維持・管理できる仕組み”を提案。障害者や高齢者など、これまで雇用の対象として難しいと考えられていた人材とのマッチングを図り、働く環境づくりをコンサルティングしている。 支援対象者 田上 秀文さん ●在住地:大阪府 ●障害種別:身体障害(1級) ●障害状況:頚髄損傷による不全右麻痺で体幹機能障害がみられる。移動は車いすを使用するが、外出時は自分で乗用車を運転する。 【これまでの経緯】  大阪美術専門学校を卒業後、三重県のデザイン会社に就職するが半年後に交通事故により受障。その後、自身のWEB制作のスキルを活かしSOHOを起業したが、友人よりWEB制作ができる人材を捜していた⑭アンウィーブを紹介される。アンウィーブより⑭新生社について情報提供され、平成17年8月から在宅勤務を行う。 雇用先 株式会社新生社 ●所在地:大阪府大阪市西区南堀江2-9-20 ●URL:http://go.forumkaya.co.jp/ ■従業員数:16名 ■障害者の在宅勤務者数:1名 【事業内容】  絵画・美術工芸品、企画・制作、インターネットなどを利用した販売。平成16年より、芸術品の検索と紹介・出品・購入できる情報サイト「アートナビ」を企画・管理・運営し、幅広い年代に芸術品の普及を図っている。 雇用のきっかけ  以前より、絵画や彫刻等の美術・芸術品をインターネットを使って広く一般に広げるたいと考えていた際、アンウィーブより美術・芸術品に特化したポータルサイト構築の提案を受ける。それに伴いWEB制作の高いスキルを持つ田上さんを紹介され、雇用に至る。 田上さんの雇用状況 従事業務 自社で運営している、芸術情報サイト「アートナビ」の企画・管理・運営を行っている。 雇用形態 在宅勤務 平成17年8月から正社員 週5日勤務(月〜金) 勤務時間 9時00分〜18時00分(8時間勤務) 業務の 進捗管理 メールや電話などで打合せを行いながら、業務にあたる。アンウィーブシステムを導入し、始業・終業、1日の業務内容を管理している。 賃金 月給制 設置機器 パソコン、プリンタ 活用した制度 ・障害者作業施設設置等助成金 ・特定求職者雇用開発助成金 配慮した事項 月一回の通院を有給休暇扱いにすることとした。 ▲芸術情報サイト「アートナビ」 (http://www.artnavi.jp/) ヤフーのように検索でき、楽天市場のように購入ができる、芸術品に特化した検索サイト。新生社梶山社長の「幅広い年代に芸術品を広め、若いアーティストたちの作品を紹介したい」という思いで制作された。田上さんはこのサイトの管理・運営を任されている。 用語解説 「アンウィーブシステム」   身体障害者の方が在宅で業務が行えるように、改良してオーダーメイドできるシステム。ホームページの管理・運営ができ、始業・終業、業務の進捗や休憩、外出など勤怠管理が行える機能を持つ。ワンクリックで作業が行えるようにするなど、利用者の状況に合わせたカスタマイズが可能になっている。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 支援内容 企業のニーズに合わせて 適材適所の人材をマッチング。 さらに継続雇用のための提案も行う 株式会社アンウィーブ 代表取締役 牧 文彦さん support 支援団体 支援対象者 田上さんへの支援 雇用前 新生社での業務内容と役割、 アンウィーブシステムの習得  新生社の業務内容やWEBサイトを活用した展望などを説明。アンウィーブシステムを活用したホームページの管理や運営を行うための講習をした。WEB制作のスキルの他、ワードやエクセルの作業もこなせたため、他の業務に対する支援や訓練は必要なかった。  また田上さんの自宅に、業務上、必要となる機器の選定やシステム、ネットワークの整備を行った。 雇用後 自主的な提案の機会が、本人のモチベーションの維持とスキルアップにつながる  現在、田上さんがアートナビや新生社ホームページの更新の管理・運営をしている。新しいプログラムやシステムの更新などを自主的に提案してもらうことで、本人の仕事に対するモチベーションを維持させ、スキルを最大限に活かせるようにしている。  本人から業務上の問題やホームページの更新について相談を受けた際に、メールや電話でアドバイスをしている。 comment  独自に学んだWEB制作のスキルを活かし、個人で仕事をしていましたが生活面の不安は拭いきれませんでした。そんなとき、友人を介しアンウィーブと出会い、私のスキルを求める新生社の情報提供をしていただきました。普通、在宅勤務だと仕事の集中力を保つことが難しいのですが、アートナビやその他システムの企画開発にも携わることができるため、毎日、時間を忘れるほど仕事に熱中しています。 ▲田上 秀文さん 雇用先 株式会社新生社への支援 雇用前 ニーズに応えるWEBサイトの システム開発に合った人材を推薦  インターネットを利用し、美術品を幅広い年齢層に普及したいと考えていた新生社に対し、新事業として芸術情報サイト「アートナビ」の提案をした。また在宅勤務であっても、アンウィーブシステムを活用することでアートナビ及び既存のホームページの管理・運営、顧客管理が可能であることを説明。田上さんの障害内容を伝え、業務をこなすスキルを充分に満たしていることを説明し、雇用に至った。  障害者雇用に必要な就業規則の文書化や改定、助成金の申請についてのサポートも行った。 雇用後 本人の仕事への意欲を掻きたてて 継続雇用につなげていく  新生社へ提案したサイトのシステム構築を、アンウィーブと田上さんとが連携しながら、本人が管理・運営しやすいように環境を整えた。  新生社とアンウィーブ、本人と何度も打ち合わせをしながら、サイトの内容を検討し、システムの構築を進めた。  現在、新生社ホームページのリニューアルを検討中であり、本人の継続雇用に結びつくよう、職務創出の提案もしている。 comment  もともと障害者の雇用については前向きでしたが、なかなかその機会がありませんでした。偶然にも牧代表に当社のニーズをお伝えしたところ、サイト構築の提案と適材である田上さんを推薦していただきました。実際、雇用して感じていることは、障害者であっても企業が求めているニーズにきちんと応えることができる人材であれば、在宅勤務であっても問題はないということです。 株式会社新生社 梶山社長(左) 支援ノウハウQ&A Q 企業に障害者の在宅勤務の導入を提案するにあたり、必要となるポイントは? A 当社では、企業が求めているニーズがどんな内容であるか確認するとともに、その解決方法を提案しています。ここで大切なのは、企業側に障害者にもできる業務を提案することです。企業から求められているニーズに応えるスキルを持つ人材であれば、障害者の在宅勤務でも問題ないことを理解してもらえるように説明しています。  さらに企業側に障害者雇用に対する就業規則の改定や、障害者のできること・できないことを説明し、業務に必要なパソコンやその他の周辺機器、障害によって必要な特殊機器などのハードやソフトの整備を提案しています。  また何か問題が生じた場合、その都度、改善策を考えてサポートしていくことも重要であり、状況の変化にすばやく順応することもポイントになると思います。