雇 用6 Case study 企業と支援団体のアクセスのよさを活かし、 密な情報交換でサポート Profile 支援団体 特定非営利活動法人 バーチャルメディア工房ぎふ ●所在地:岐阜県大垣市加賀野4-1-7       ソフトピアジャパン・センタービル7階 ●・0584(77)0533 FAX_0584(77)0533 ●URL:http://www.vm-studio.jp/ 【事業内容】  平成10 年から重度障害者が社会経済活動に参画し、活躍できることを目標に「ITを活用した在宅就業」支援事業を行っている。同工房に応募し、選考された人は「在宅ワーカー」として登録され、WEB ページの制作やソフトウエアの開発など、自分のスキルを生かした業務を行っている。平成16年にNPO法人として設立、平成18 年5 月に在宅就業支援団体に登録。 支援対象者 林 映二さん ●在住地:岐阜県 ●障害種別:身体障害(1級) ●障害状況:脳性まひのアテトーゼによる軽い四肢のまひと言語障害がみられる。パソコン入力時にキーボードカバーを使用。自力歩行による移動が可能。単身生活のため、食事準備の際にヘルパーを活用。 【これまでの経緯】  特別支援学校高等部卒業後、吉備職業リハビリテーションセンターにおいて職業訓練を受ける。友人の紹介で、平成8年から福祉メディアステーション(支援団体の前身)に通所を始め、PHP(プログラミング言語)の訓練、ホームページの制作等請負を通じてスキルアップ。平成18年2月にMan to Man G Animo.com⑭に就職。 雇用先 Man to Man G Animo.com 株式会社 ●所在地:岐阜県大垣市加賀野4-1-7      ソフトピアジャパン・センタービル705 ●URL:http://www.mmg-animo.co.jp/     web/index.html ■従業員数:15名 ■障害者の在宅雇用者数:現在は0名 【事業内容】  デジタルアーカイブ(文書電子化)事業、求人求職マッチングサイト「ハローワクワク時給市場」の運営、ハローワクワク時給市場ホームページ制作・保守。平成19年に日本リガメント⑭の特例子会社として認定される。 雇用のきっかけ  障害者雇用を進めるために会社を設立する際、コンサルタント会社から情報提供があったバーチャルメディア工房ぎふに相談。Web制作の高いスキルを有する障害者を探しており、支援団体から林さんを推薦してもらい雇用に至る。 林さんの雇用状況 従事業務 自社で運営しているWebサイト、関連企業ホームページの制作、更新、保守。現在は他の障害者のリーダー的役割もこなす。 雇用形態 会社において勤務 平成20年9月から正社員。週5日勤務(月〜金)※採用当初は週2日在宅勤務、週3日は会社で勤務。 勤務時間 9時30分〜18時30分(8時間勤務) 業務の進捗管理 在宅勤務をしていた頃は、始業・終業の際にメールで連絡。週3日は会社に出勤していたので、分からないことなどは同僚に直接確認していた。 賃金 月給制 設置機器 在宅勤務をしていた時は、パソコン、キーボードカバー、ネットワーク回線を整備。 活用した制度 なし 配慮した事項 雇用にあたって、本人、企業、支援団体で話し合い、一部在宅勤務を導入。本人のスキル、体力を踏まえ会社で勤務することが可能と判断され、6ヶ月後に週5日会社で勤務することとした。 ▲林さんが管理、更新しているホームページ「ハローワクワク時給市場」 ▲林さんが使用しているキーボードカバー 用語解説 「障害者委託訓練」   「障害者の態様に応じた多様な委託訓練」をいう。障害者が居住する地域において、企業、社会福祉法人、NPO法人、民間教育訓練機関等に委託し、就職に必要な知識・技能を習得するための公共職業訓練を機動的に実施している。委託訓練の期間は原則3ヶ月以内。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 支援内容 働くために必要な生活面もサポート 企業の障害者雇用の不安を払拭 特定非営利活動法人 バーチャルメディア工房ぎふ 理事長 上村 数洋さん support 支援団体 支援対象者 林さんへの支援 雇用前 在宅就業を通じたスキルアップと 単身生活実現に向けた支援を実施  平成10年にバーチャルメディア工房ぎふが活動を開始。それに併せて在宅就業のワーカーとして登録(第1期生は6人)し、データベースの構築、ホームページ制作・更新の業務を提供した。  また、PHPに関する知識、専用サーバーの立上げについて、外部講師による研修会を実施したり、在宅就業実務を通じてスキルアップをサポートした。  生活面では、自動車運転免許の取得や単身生活に向けた住居(県住宅供給公社)の確保、ホームヘルパーの活用等について相談・支援をする。 雇用後 スタッフとの密なコミュニケーションで 精神的なフォロー  本人の勤務先と支援団体が同じビルに入居しており、林さんが立ち寄ってくれた際には、仕事や生活に関する情報交換をしている。  林さんにとっても、在宅就業をしていた頃の支援団体のワーカー達とプライベートで交流があるため、彼らを通じて支援団体と密な連絡をとることが可能であり、精神的な支えとなっている。 comment  一人暮らしをしたいという希望を相談したときに、自動車運転免許やホームヘルパーの利用など常に気楽に相談でき、対応してくれたのがありがたかったです。  働くことはそれ自体が目的ではありません。目的のために働くという気持ちが大切だと思います。私が抱いている目的は、家庭を築くこと。その達成に向けて仕事を頑張っています。 ▲林 映二さん 雇用先 障害者雇用に関する不安を払拭  初めて障害者を雇用するにあたり、どの程度介助が必要なのか、精神的なフォローをどうしたらよいかという相談に対して、1つ1つ不安を払拭することに努めた。  障害者雇用の際には、会社の求める人材に応じた登録ワーカーを推薦し、雇用につながった。  林さんの移動の負担や体力を考慮し、採用当初は部分的に在宅勤務を導入することを提案した。 雇用後 林さんにとどまらず、 障害者雇用に関する相談を継続  採用後の会社で必要なスキルについては、会社がOJTを通じて指導しているため、直接サポートをする必要はなかった。  林さん以外にも障害者が勤務しているため、障害者雇用に関する助言を継続して行っている。 comment  バーチャルメディア工房ぎふには、初めて障害者雇用をするときの不安から、雇用して課題が出てきた時の対応まで、いつでも相談にのってくれたのが助かりました。これから障害者雇用を検討される企業の方は、わからないことが多くて不安もあると思います。しかし、雇用して初めて分かることも多いのです。課題が出た時には、どうしたら働きやすい環境を作ることができるか考えることが大切だと思います。 ▲取締役 辻 雅晴さん 支援ノウハウQ&A Q バーチャルメディア工房ぎふでは、現在、どのような訓練を行い在宅就業のサポートを行っていますか? A 障害者委託訓練の「知識・技能習得訓練コース」(ITの基礎知識、ワード、エクセル、Webクリエイター養成、データベース開発等)、「遠隔教育訓練」(ITの基礎知識やWeb作成等)、県の委託事業として人材育成研修、市の委託事業として障害者社会参加促進事業研修、登録ワーカーに対する技術研修などを幅広く行っています。