雇 用4 Case study ハローワークと連携しながら、 企業に精通した助言により在宅勤務が実現 Profile 支援団体 特定非営利活動法人 障がい者就業・雇用支援センター ●所在地:東京都千代田区神田駿河台1-5-5 レモンビルⅡ−4F ●・03(3518)6640 FAX03(3518)6641 ●URL:http://www.homework.or.jp/ 【事業内容】  平成16年2月にNPO法人として設立。職業紹介事業を行っており、障害者のための求職サイト「パラリンジョブ」を運営している。企業に対して、在宅勤務の導入や特例子会社設立に向けたコンサルティング等を行っている。障害者に対しては、e-ラーニング形式による研修、採用後の職場定着支援などを行っている。 支援対象者 梶山 紘平さん ●在住地:千葉県 ●障害種別:身体障害(1級) ●障害状況:筋ジストロフィーによる上下肢障害、体幹障害、呼吸器障害。車椅子、呼吸器を使用。移動や食事等介助が必要。 【これまでの経緯】  平成16年3月に特別支援学校を卒業、福祉施設に通所しながら放送大学で社会福祉を学ぶ。平成17年7月に母校の元学校長から支援団体の紹介を受ける。平成18年の夏からパソコンスキルの習得を目指し、e-ラーニングによる訓練を受講。平成19年12月にN社に採用される。 雇用先 N社 ●所在地:東京都 ■従業員数:186名(派遣スタッフ含む) ■障害者の在宅勤務者数:1名 【事業内容】  一般労働者派遣事業・有料職業紹介事業 雇用のきっかけ  事務所がバリアフリーになっておらず、また狭小であった。それらを解消するためには費用と時間がかかることから、障害者雇用を早期に進める上では在宅勤務の導入が最適な方法と考えた。 梶山さんの雇用状況 従事業務 WEB上に掲載している派遣スタッフ求人の更新 リサーチ業務 社内の伝票・書類作成 ホームページの修正など 雇用形態 在宅勤務 非正社員(契約社員) 週5日勤務(月〜金) 勤務時間 10時00分〜17時00分6時間(うち昼休憩1時間) 業務の 進捗管理 業務の指示、報告・連絡・相談については基本的にメールでやりとりを行う。急ぎの場合は電話も使用。メール以外に勤怠管理表で進捗状況をチェック。 賃金 月給制。パソコン、回線使用料、通信料、消耗品費を含め、 月額1万円を支給。 設置機器 パソコン、プリンター 配慮した事項 ・ 採用当初、終日業務を行うことが初めてであったため、身体に負担がかからないよう業務量を抑えた。また、納期も緩やかに設定した。 ・ 移動が困難なため、社員が月1回自宅に訪問し直接コミュニケーションをとった。 ・ 通院、身の回りの介護は業務に優先して行うことを認めた。 ▲支援団体が運営するホームページ「パラリンジョブ」 用語解説 「e-ラーニング」   主にパソコンやインターネットを活用して、自宅などにおいて学習できるシステムをいう。 ------------------------------------------------ 支援内容 障害者へのe-ラーニングと 企業へのコンサルティングで 在宅勤務を推進 特定非営利活動法人 障がい者就業・ 雇用支援センター 理事・事務局長 三浦 眞さん support 支援団体 支援対象者 梶山さんへの支援 雇用前 e-ラーニングによるパソコンスキルの向上と 仕事に対する基本姿勢の習得をサポート  特別支援学校においてワード、エクセルの基本操作を身につけていたので、応用機能の習得に加え、インターネットを使った情報収集の仕方、報告書等ビジネス文書やビジネスメールの書き方についてe-ラーニングにより訓練を行った。全てのテキスト終了後、社内資料の作成を想定した課題を実施。  平成18年9月と19年2月には、仕事の納期と品質に関しての意識をもってもらう経験として、50ページのマニュアル作成作業を2週間程度取組んでもらった。本人の意識も高く、初回は細かなミスも見られたが、2回目からは自分自身でスケジュールを立て、ミスも発生せず納期内に仕上げることができた。  その後、支援団体において在宅勤務の相談を受けていたN社に推薦、採用に至る。 雇用後 自宅訪問とメールで職場定着をフォロー  N社に採用後、しばらくは月1回の自宅訪問と電話、メールにより様子を確認しながら職場定着をフォローした。  企業においても、定期的に本人と面談してコミュニケーションをとってくれているので、現在は直接的な支援はしておらず、何か困った時に助言をするという対応である。 comment  特別支援学校卒業後に、元校長先生から障がい者就業・雇用支援センターの三浦さんを紹介してもらい、訓練を受け在宅勤務が可能になりました。人のつながりの大切さを実感しています。  在宅勤務するにあたっては、どんな業務でも細やかに神経を配るように心がけています。訓練を通じて、ワード・エクセルの応用操作を習得していたことが、とても役にたっています。これから在宅勤務を考えている方はワード・エクセルの基礎的なことは習得していると良いと思います。  (梶山さん) ▲梶山さん(左)、三浦さん 雇用先 N社への支援 雇用前 業務の選定、労働条件に関する助言により 在宅勤務が実現  企業に対して在宅勤務の導入支援を行っていることを、東京労働局及びハローワークにPRしていたところ、N社の情報提供を受ける。  N社は、在宅勤務のみならず障害者雇用自体が初めてであったため、梶山さんの持っているスキルを具体的に説明し、業務内容を検討してもらった。また、在宅勤務の際の労働条件の設定例や、契約書に盛り込むべき事項について助言を行っている。  業務を円滑に進めるために、指示の出し方や梶山さんをフォローする体制についても助言を行った。 comment  当社は初めての障害者雇用であったこと、梶山さんも初めての就職ということもあって、企業として過度に期待しすぎたり、梶山さんも必要以上に頑張りすぎてしまった時期がありました。  しかし、時間をかけてコミニュケーションをとっていく中で、仕事上、求めていることと、求められていることが明確になり、スムーズに進むようになりました。  現在は、これまでスタッフがやっていた仕事を梶山さんが担当してくれるので、スタッフの仕事量も軽減されました。  支援団体からは障害者雇用について、企業の実情に熟知した専門家のサポートが受けられ、他社の事例を交えた具体的なアドバイスがわかりやすく、今回の採用が実現しました。 (N社) 支援ノウハウQ&A Q 企業に対して、どのような支援をどのような体制で行っていますか? A 在宅勤務導入に関してのサポートの一例としては、在宅勤務を実施する際にかかる経費や契約書を作成する際の必要事項について情報提供しています。  当団体では、企業において経営に携わっているスタッフも多くおり、企業の視点に立ったコンサルテーションができることが強みです。また、ハローワークや地域の就労を支援する機関とも連携し、障害者雇用をサポートしています。 ■図■ 障がい者就業・雇用 支援センター 教育研修 ●PC操作 ●業務のスキルアップ ●ビジネスマナー 生活支援 ●介護 ●余暇の充実 健康管理 ●体の健康 ●心の健康 就労後のケア ●業務環境の整備 ●通勤支援 ●コミュニケーション促進 企業紹介 ●マッチング ●推薦 就職相談 ●履歴書の作り方 ●模擬面接